『知香、連絡取れないんです。前にここで妹さんがバイトしているって聞いたから来てみたんですけど、なにか聞いてますか?』


知香ちゃん!?

普通に家いるじゃん。



そう思ったけど何も聞いてないので

『知りませんけど・・・。そのうち連絡あるんじゃないですか?』

冷たく言い放った。



初めて見たこの男は長身でスタイルがよく、顔もかっこよく、オトナの男という感じだった。

でも左の薬指にはちゃんと指輪があって、しかも綺麗に光っていた。

たぶん奥さんかこの男が磨いているのだろう。



『そうですか。仕事中にごめんね。じゃ。』

そう言って軽く手をあげて去って行った。



わたしは何も言わずにその姿を見ていた。


知香ちゃん、どうしたのかな?

そういえばこの前何か言いかけてたような・・。

大した用じゃないって思ってたけど大した用だったのかな??


この前、原口さんと俊くんで迷ってたとき、知香ちゃんが何か言おうと部屋に来たことを思い出した。

結局、あの日はわたしの話だけで知香ちゃんの話は聞けなかった。

帰って聞いてみようっと。

そう思いながらまた返却を始めた。



レンタル商品を棚に返し終わったのでカウンターに向かうと、中で孝浩くんと話しているすごく笑顔の沢村さんの姿が見えた。


まだ、話してないんだろうな。

あんな笑ってるし。

この後・・どんななるかなぁ・・・・。



そう思いながらカウンターの中に入った。

そしてレンタル落ちの商品を整理していたら

『今からぼちぼち話すわ。』

孝浩くんが後ろからボソッと言った。