重い足取りで家を出る。親からは心配され、「学校を休んだら」と言われたが前は首を横に振った。紅葉のことが心配だったからだ。
前と紅葉は、いつも一緒に学校に行っている。それは小学校の時からずっと変わらない。
待ち合わせ場所は、近所にある公園に植えてあるキンモクセイの木の下。
前がドキドキしながら待ち合わせ場所に行くと、紅葉はもう待っていた。昨日のことなどなかったかのように、凛とした表情でキンモクセイを見つめている。
「……おはよう」
前が声をそっとかけると、「おはよう!」と明るい声と笑顔が返ってきた。本当に、昨日のことなどなかったかのように……。
「キンモクセイ、ちょっとずつ咲いてきたね」
紅葉が咲き始めたオレンジの花を指差す。
「私、キンモクセイの花が好きなんだ〜。いい匂いするよね〜」
そう言って笑う紅葉に、前は申し訳ない気持ちになる。紅葉はきっと強がっている。そう前は思った。弱い自分を見せたくないのだ。
前と紅葉は、いつも一緒に学校に行っている。それは小学校の時からずっと変わらない。
待ち合わせ場所は、近所にある公園に植えてあるキンモクセイの木の下。
前がドキドキしながら待ち合わせ場所に行くと、紅葉はもう待っていた。昨日のことなどなかったかのように、凛とした表情でキンモクセイを見つめている。
「……おはよう」
前が声をそっとかけると、「おはよう!」と明るい声と笑顔が返ってきた。本当に、昨日のことなどなかったかのように……。
「キンモクセイ、ちょっとずつ咲いてきたね」
紅葉が咲き始めたオレンジの花を指差す。
「私、キンモクセイの花が好きなんだ〜。いい匂いするよね〜」
そう言って笑う紅葉に、前は申し訳ない気持ちになる。紅葉はきっと強がっている。そう前は思った。弱い自分を見せたくないのだ。


