守りたいと思っていた人を守れた。そして、その人が今自分の家にいるのだから……。

「前!ほんとにさっきはありがとう!かっこよかったよ!」

紅葉はそう言って笑う。前は照れ臭くて、「は、恥ずかしいよ〜」とはにかんだ。

しばらく笑いあった後、二人は黙ってお互いを見つめ合った。

ドキドキという音が室内に響く。それは、前の鼓動なのか、紅葉の鼓動なのかわからない。

前は緊張しながら言った。ついに、この時が来たのだ。

「あのさ!もうすぐ紅葉ちゃんは誕生日だよね。ちょっと早いけど、プレゼントを渡したいんだ」

「えっ?プレゼント?」

紅葉が目を丸くする。前はドキドキしながら色とりどりの花束を取り出し、紅葉に渡した。ふわりと花のいい香りが漂う。

「わあ…!とってもきれい!!」

紅葉が笑い、前はひとまずホッとした。名言集を読んだ後、勇気を出して買ったものだ。

「あのね、紅葉ちゃん。その花たちには、一つ一つ意味があるんだよ」