《千尋side》

「好きです、付き合って下さい!」

私、蒼井千尋(あおいちひろ)は今人生初の告白をした。

相手は隣の席の佐野悠真(さのゆうま)くん。

178cmくらいの身長に一重の切れ長の目、すっと通った鼻筋。

そして、私と佐野くんとは話がすごく合う。

好きな音楽のジャンルとか、歌手。好きな食べ物や嫌いな食べ物まで。

でも1番のきっかけは、

中学校時代の部活がテニス部で肌が焼けている私はいつも誰かしらに肌が黒いことを言われる。
実は私は肌が焼けていることがコンプレックスでもある。

佐野くんにもからかわれると思っていた。

でも、佐野くんだけは違った。



「部活を頑張っていた証拠だよ。」



そう言ってくれた。

そんなの佐野くんが初めてだった。

すっごく頭が言い訳でもモテる訳でもない佐野くんだけど、

私は佐野くんの事が好きになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…どうかな?」


恐る恐る私は佐野くんに返事を求めた。
佐野くんは驚いて口が開いている。

「佐野くん…?」

「あ、ごめん、まさか千尋が俺のこと好きなんて思わなくて!」

「だよね!ごめんね、突然こんなこと言って!忘れて!!」

そう言って走り出したら佐野くんが私の腕を引っ張った。

「へ?」

驚いて変な声が出た。めっちゃ恥ずかしい。

振るためにわざわざ引き止めなくてもいいのに。そう思って思いっきり目を瞑った。すると

「……俺も…」

佐野くんが何かを呟いた。私は思わず

「今なんて?」

と言ってしまった。

佐野くんは、


「……俺も」

「俺も千尋の事好きなんだ!俺で良かったらこちらこそ!!」


今度は顔が赤くなりながら下を向きながらだけどはっきりと言ってくれた。

私思わず、大好きな佐野くんに抱きついてしまった。

すると佐野くんも私を優しく抱きしめてくれた。


《悠真side》

千尋に呼び出されて何かと思えば突然告白された。

まさか、大好きな千尋に告白されるなんて思ってなかった。

俺から告白しようと思ってたのに。

ああ、恥ずかしがって耳まで真っ赤の千尋に見入っていると千尋に

「佐野くん…?」

と言われて現実に戻ってきた。

答えはもちろんOK。決まってる。

余裕なふりして「俺も」と言ったら緊張して声でなくて千尋に「今なんて?」とか言われて台無し。

もう、どうにでもなれ!と半分やけくそで

「俺も」

「俺も千尋の事好きなんだ!俺で良かったらこちらこそ!」

と言った。自分の顔が赤い事も下を向いていることも分かっていた。でも、今の気持ちを自分なりに全力で伝えたつもり。

すると千尋はなにも言わずに俺に抱きついた。

俺も千尋に抱きついた。