「アタシさー、ぶっちゃけ……今起きたばっかなんだよねー。あの後普通に爆睡しちゃってさー(笑)寝起きだから何か行くのだるくなっちゃってー。ごめんねー。」




 辛くて胸が張り裂けそうだった……すごく、会いたかった。




亮介 
「……でもお前……もう家出るとこだって、さっき…」




 愛は亮介の言葉をさえぎる様に言う。





「奥さん、すごく心細いと思う……アタシさ、熱出して頭痛い時とか、何か痛みなんかどーでも良くなっちゃってさ、好きな人に会いたいって思うの。どうしようもなく寂しくなっちゃってさ。だから……きっとあの人もそうだよ。」



亮介
「メグ……でも……俺はお前のこと……。」




 愛は強い口調で言った。



 

「居てあげなさい。」



亮介
「………わかった。」




「私は大丈夫だから……じゃあね。」



亮介
「うん、でも………メグ!」




 愛は電話を切ろうとした手を再び耳に当てた。





「………ん?」



亮介
「……愛してる。」




 その言葉を聞いた瞬間、ずっと堪えていた涙が一気に溢れ出した。
止めどなく溢れては落ちてゆく涙を、愛はもう……止めようとはしなかった。
ただ地面を見つめ、もうこれ以上力の入らない腕は、亮介の声を彼女の耳から遠ざけていった………。そして愛は、何も言わずに電話を切った。