「もしもーし!今家出るとこーっ」




 その明るい声で、愛が今日一日をどれだけ楽しみにしているか、亮介には充分に伝わった。そして亮介は少し間を空けて、話した。




亮介
「……ごめん……メグ……。」




「え?(笑)何が?」




 シラけた雰囲気になるのが嫌で、愛は咄嗟に軽く返した。だが彼女には、その意味が既に予測できていた。




亮介
「嫁が階段から落ちて足捻挫したんだ。そんなに悲鳴あげる程痛い訳ではないらしいけど……。まだ午後の診療間に合うから、一応病院に連れていく。」




「……うん。」



亮介
「でもあいつ家に置いたらすぐ行くから、待っててくれるか?」




「……そばに……いて……」



亮介
「終わったらすぐに行くから、待っててくれ。」




「違う、奥さんの……そばに居て……あげて。」



亮介
「……メグ……。」