自分より大切なもの






   [ 着信音 ]






・・・まただよ……しつこい……。






椿 
「……はい」



佐古
「あ、どうもー、お世話になっておりますー。ストーカーですー。」



椿
「あ、はい。」



佐古
「………(怒)お前、今どこにいんだ。」



椿
「あー……家。」



佐古
「……だと思った。今から迎えに行くから、保険証とな、今日は寒くなるからちょっと厚着して来い。」



椿 
「は?何であんたがウチに来んの。」



佐古
「お前を病院に連れて行くんだよ。」



椿
「…………先生だから?」



佐古
「………は?」



椿 
「先生だから、仕方なく心配してるの?」



佐古
「おい、お前いったい何言って……」



椿 
「どうなのよ。」






・・・どうせなら、ハッキリ言ってよ。別に今さら傷ついたりしないし。






佐古
「心配だよ。」



椿 
「……………?」



佐古
「お前は色々と自分で勝手に思い込んでるんだろうけど……誰からも好かれないとか、必要とされてないとか……。でもな、俺はお前の事、本気で心配してるよ。」



椿 
「……………。」






・・・簡単に言うね。そういう事、ストレートに……。本当にカンタンにね。



  


佐古
「それにお前、それ顔の傷だろ?放っといたら跡が残るぞ。ちゃんと治さねぇと。」



椿
「……わかった、行くよ。」



佐古
「はい、じゃあまた連絡するから、これ俺の連絡先だから登録しといてな。」



椿
「ほいよ。」