教室を飛び出したあたしは、鞄も持たずそのまま階段を駆け下りて昇降口へと向かった。


克己からのイジメなら我慢する自信があった。


理解もしているつもりだった。


でも……どうしてそこに渚が加担する必要があっただろう?


イジメ方が緩いからと言われても、渚が積極的に行動する理由にはならない。


悔しさと悲しさが湧き上がって来て、涙が滲んだ。


逃げるなんて嫌だったけれど、自分の気持ちを落ち着かせるためにも一旦外の空気が吸いたかった。


しかし「あれ?」昇降口へやってきたあたしは、ガラス戸がしっかりと閉められているのを見て、足を止めた。


上履のまま戸を確認してみると、鍵がかけられている。


安全のためだろうか?


そう思ったが、昇降口にもいくつもの監視カメラが仕掛けられていることに気が付いて、あたしは下唇をかみしめた。


当然、ここも監視体制になっていたのだ。