4月。今年は少し遅れて咲いた桜の花が、入学したての高校の門を、淡いピンクで彩っていた。
入学式も終わり、新入生たちがそれぞれの教室に落ち着くと、あちこちで小さな輪ができる。
最初は同じ中学出身の数人がかたまりはじめ、顔見知り通しの近況や、他の初対面のクラスメートたちの値踏みをコソコソと、あるいははしゃぎながら、始めるのだ。
しかし、同じ中学出身どころか、顔見知りさえいない私は、なんとなく輪の中に入り損ねてしまい、なんとなく居心地が悪い思いをしていた。
別に仲間外れにあったわけではない。
ただ、手洗いに立って、戻ったときには既にいくつかの輪ができてしまっていて、なんとなく入りづらい雰囲気になっていたのだ。
もともと積極的な性格ではない私は、既に何かの話題で盛り上がっている様子の輪の中に入っては行き辛かった。空気の読めないヤツと思われるのが、怖かったのだ。
(……どうしよう。最初からこんな調子じゃ、この先が思いやられるなぁ)
せっかくの高校生活が楽しいものになるかは、今日にかかっている。
私は意を決して、どこかの輪の中に入れはしないかと、周りを見渡した。
その時――。
入学式も終わり、新入生たちがそれぞれの教室に落ち着くと、あちこちで小さな輪ができる。
最初は同じ中学出身の数人がかたまりはじめ、顔見知り通しの近況や、他の初対面のクラスメートたちの値踏みをコソコソと、あるいははしゃぎながら、始めるのだ。
しかし、同じ中学出身どころか、顔見知りさえいない私は、なんとなく輪の中に入り損ねてしまい、なんとなく居心地が悪い思いをしていた。
別に仲間外れにあったわけではない。
ただ、手洗いに立って、戻ったときには既にいくつかの輪ができてしまっていて、なんとなく入りづらい雰囲気になっていたのだ。
もともと積極的な性格ではない私は、既に何かの話題で盛り上がっている様子の輪の中に入っては行き辛かった。空気の読めないヤツと思われるのが、怖かったのだ。
(……どうしよう。最初からこんな調子じゃ、この先が思いやられるなぁ)
せっかくの高校生活が楽しいものになるかは、今日にかかっている。
私は意を決して、どこかの輪の中に入れはしないかと、周りを見渡した。
その時――。

