それまでの私は、まるで色の付いていない、真っ白な世界に住んでいるようで、何の変化も、何の感動もない、無機質な日常に不満を抱くこともなく、ただ毎日を淡々と過ごしているだけだった。
別に、つまらないと感じたこともなければ、退屈だったわけでもない。
ただ、私の心が色を感じていなかった。
というよりも、「色」を知らなかったのだ。
まるで、フルカラーの映画が作られる前の、モノクロームの映画が当たり前だった頃のように。
その無機質で、しかし平穏な世界は、突然終わりを告げた。
彼が私の目の前に現れたのだ。
彼のいる風景ははじめ、まるでそこだけ絵の具で色を付けたように赤く、私の白い心に入り込み、時に小さく、時に大きく、その世界を飲み込み、塗りつぶしていったのだ。
それは、それまでの「私」が壊れてしまうかのような、とても激しい、しかし、外見からは伺い知れない、静かな変化だった。
別に、つまらないと感じたこともなければ、退屈だったわけでもない。
ただ、私の心が色を感じていなかった。
というよりも、「色」を知らなかったのだ。
まるで、フルカラーの映画が作られる前の、モノクロームの映画が当たり前だった頃のように。
その無機質で、しかし平穏な世界は、突然終わりを告げた。
彼が私の目の前に現れたのだ。
彼のいる風景ははじめ、まるでそこだけ絵の具で色を付けたように赤く、私の白い心に入り込み、時に小さく、時に大きく、その世界を飲み込み、塗りつぶしていったのだ。
それは、それまでの「私」が壊れてしまうかのような、とても激しい、しかし、外見からは伺い知れない、静かな変化だった。