いつもの様にちょっとだけちはるに気を使いつつお昼休みを終えて、自分の席に戻る。

私は昔から友達とずーっとベタベタする性格ではない。だから、1人でいることも珍しくはない。

ふと、さっきまでお弁当を食べていた席を見ると、3人は予鈴がなってもまだ話していた。

また、少しモヤモヤが増えた気がした。

5時間目は総合で体育祭のことについて決める。

まやとちはるは綱引き、ゆかと私は騎馬戦に出る事になっていた。

綱引き組と騎馬戦組でそれぞれのチームを決める時私はちはるのことをゆかに相談してみる事にした。

「ねぇ、ゆか。うち、ちはるに嫌われてるかな?」

「え?どうしたの急に」

「何となく気になって」

「嫌ってないと思うけど、、。何かあった?」

「いや、ちょっと前みたいに話してくれなくなったなと思って。うちの事愚痴ってたりとかしてる?」

「いや、特に何も聞いてないけど、、。」

「そっか、やっぱり気のせいかなぁ」

「うん、大丈夫だよ」

「うん、ありがと。」

勇気を出して相談したけど、心のモヤモヤは晴れた気がしなかった。

それからというもの、余計に3人との距離が遠くなった気がする。

3人の会話に入れなかったり、3人だけでトイレに行ったり。まぁ、トイレくらいは1人でも行けるけど、周りからぼっちだと思われるのが嫌だった。

日々見えない壁があるような、4人のグループと言うよりは3人と1人と言うような感じで、何気ないぼっち感を味わいながら体育祭の日になってしまった。

体育祭の日、ちはるは保健委員でクラスの応援席にはいなかった。何となくいつもより心が軽かった。

体育祭は順調に進み、中間結果では7組ある中で1組は2位。4組に僅かな差で負けていた。

午後の種目には騎馬戦と全員リレーがある。
どちらも逆転の大きなチャンスだ。

私とゆかが騎馬戦に出る直前にいつもの4人で話していた。

「2人とも頑張ってよ!逆転かかってるからねぇ笑」

と、まやはプレッシャーをかけて来る。

「プレッシャーかけないでよ〜笑」

と、ゆかと2人で笑っていると、ちはるが

「ゆか、絶対負けないでよ!まじ、全力で応援しとくから!」

と、言った。

ゆかは、騎馬の上にのる人だからもちろん下で支える私も応援していた。

けど、あのちはるの言い方はいかにも私は眼中に無いような言い方で少し腹が立った。

だが、もうすぐ競技が始まるのにそんな事は言ってられない。

逆転したい気持ちとイライラを晴らしたい気持ちで超全力で騎馬戦に取り組んだ。

でも、4組と同率の1位。点差は変わらず、悔しさもありイライラが増していた。

最後の競技は全員リレー。私は足が遅いので、みんなの足を引っ張らないようにしなきゃと気合を入れていた。

そこに、3人が来てクラスで作戦が少し変わったことを教えてくれた。

「バトンパスの時、なるべく早めに走り出すこと意識して走って欲しいってー」

と、ちょっと嫌そうにゆかが言った。

するとちはるが

「りん、失敗しないでよ〜笑」

と言った。

さっきも言ったけど私は足が遅い。
冗談かなと軽く流そうと思った。
でも、ちはるだってタイムはそんなに変わらない。

なのに、なんでそんなに上から目線で言われなきゃいけないんだ。やはりイヤミにしか聞こえない。

そう思いつつ、

「分かってるよ〜」

と、無理やり笑顔で返した。

その時からだ。ずっと気のせいだと思っていた事が気のせいじゃないと気づいたのは。

イライラが止まらなかった。悔しかった。

半分ヤケになってリレーを走った。

結果は見事1位。総合得点も逆転して優勝することが出来た。

でも、素直に喜べなかった。

その後の打ち上げも、本当は行きたくなかったけど先生がどうせならクラスのみんなでお祝いしようと言ったので仕方なく参加した。

打ち上げの間はちはるとはほとんど話さなかった。

モヤモヤがイライラに変わり、一層学校に行くのが憂鬱になった。