「あずー!また優勝したんだって!?」

「優勝だなんて大袈裟な」

「ほんとに私の親友はどこまでもすごいよ!
総体も絶対優勝だね!!」

微笑んで返す。

またこれか。いつもみんなはそう。いくらここが田舎だからって優勝が簡単なものっていうわけではないし、全然すごくなんかない。

県に行ったらもっと難しい戦いが待ってるんだ。


そう、私は陸上で短距離をやっている。陸上を初めて五年目。現在高校二年生の秋。
もう少しで新人戦が始まるころだ。

私には最大のライバルがいる。
県に行かないと会えないけど、中学の時から信頼し合って、意識し合っている、葵だ。

葵が最強の敵。彼女は100、私は200ってことで本命は違うけど、お互いどちらも優勝目指してるから気を抜けない。

ほんとに葵がいてよかったなって思う。

彼女が私の努力の糧だ。