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カタンという物音で目を覚ました。

勢いよく飛び起きて、リモコンで部屋の明かりを灯す。

けれど、部屋の中に彼の姿なんてない。

……大丈夫、さっきのは夢だって、ちゃんとわかってる。

じゃあなんの音、と少し気味悪がっていたら、枕元の携帯電話が鳴った。

『鍵、新聞おけに突っ込んだ。じゃ』

彼からのメッセージ。「了解」とだけ返して、携帯を布団に投げた。

大きくため息を漏らし、そう言えば今何時だろう、と壁の時計に目をやる。

午前3時──。

そこには、見慣れたLの文字が形作られていた。

何がLoveだろう、ほんとバカみたい。

3時のLはきっと、LostのLだ。

『好きだよ』

現実ではもう二度と聞くことはない、彼の言葉を思い出して、少しだけ泣いた。




~END~