秀明が俊治に殴りかかったかと思うと、なぜか秀明が股間をおさえながら悶絶していた。

「お前ら朝からうっさいんだよ。」

声がした方を見てみると光介が立っていた。

「だにじやがるごうずけ(何しやがる光介)」

秀明は床で苦しそうにしている。相当痛かったのだろう。

「制裁だ。みんな迷惑してるだろうが。今回は何なんだよ。」

僕は光介にさっき聞いたことを伝えた。

「秀明が悪い。」

僕の話を聞くと、何の迷いもなくそう言った。

「何でだーーー!!」

秀明は絶叫していた。

「本当に俺は知らないんだよーーー!!」

「ねぇ俊治、秀明は本当に知らないみたいだけど?」

さすがにおかしいと思い、俊治に確認してみた。

俊治:「そんな馬鹿な。こんなものが俺の下駄箱に入っていたんだぞ。」

俊治は一枚の手紙を見せながら言った。そこには、『明日朝6時、自室にて待つ。決闘だ。今度こそ決着をつけるぞ。 秀明』と書いてあった。

「俺はそんなの書いてねぇぞ。第一俺はそんな難しい文章書けん。」

と秀明が言った。

「言われてみればそうだな。」

そう俊治が答えた。

「だろ?」

秀明にはプライドとかはないのだろうか。でも確かに今までの秀明を見るかぎり、何時間あっても書けそうにない文章だ。

みんなで考えていると、急に光介が口を開いた。

「悪い、それ俺だ。」

「はぁーーー!?」

その場にいた一同が、一斉に声をあげる。

「最近なんかつまんないから暇つぶしに書いたやつだ。俊治の下駄箱に入れといたのすっかり忘れてたぜ。」

あんたは暇つぶしに親友を喧嘩させるのか…

「悪かったって。今度学食の水おごるから、な。」

「水はセルフサービスだーーー!!」

2人はぴったりと息を合わせて光介に殴りかかった。つっこみどころはそこじゃないと言おうと思ったが、なんかどうでもよくなってきた。

「てめぇら普段からそれくらい仲良くしろーーー!!」

言うが早いか、光介は視界から消えてしまった。

「なんか無駄な早起きになっちゃたなぁ…」

僕はため息を吐きながらそうつぶやいた。

こうして今日も騒がしく幕を開けた。