部屋のカーテンの隙間から光が差し込んでいた。目覚まし時計を見ると、針は6時を示している。どうやら目覚ましより早くに目を覚ましてしまったようだ。

「まぁ、少しくらい早起きしてもいっか。」

そうつぶやいて、僕は洗面台へ向かった。冷たい水で顔を洗うと、寝ぼけていた意識が覚醒していく。

「そういえば、何でこんな時間に目が覚めたんだろう?」

頭の中で考えをめぐらす。すると隣の部屋からすさまじい音が響いた。

「そうだ、さっきもこの音で目が覚めたんだ。すっきりした。ってそうじゃなくて、また秀明と俊治が暴れてるんだ!」

僕は隣の部屋へ走った。

僕の通っている学校は全寮制のため、生徒たちは親元を離れてそれぞれに与えられた部屋で生活をしている。しかし規則とは名ばかりで、学校側に伝えれば自由に部屋の移動を行ったり、ルームメイトをつくって一緒の部屋に住むことができる。

僕も最初は秀明と同じ部屋だったのだが、光介に移動させられてしまった。理由を聞いてみると、秀明と俊治の喧嘩に巻き込まれると僕がかわいそうだかららしい。

隣の秀明の部屋に行ってみると、案の定2人は喧嘩をしていた。2人ともすごい剣幕で互いに睨み合っている。野次馬たちがあおってるせいか、2人は今にも殴りかかりそうな感じだ。

「今度はどうしたの!?」

僕は少し声を荒げて2人に聞いた。

「聞いてくれよ亮。こいつが急に俺の寝込みを襲ってきたんだ。起きてる時ならいつでも相手になるが、さすがにこれはずるいだろ!」

秀明が言った。2人の喧嘩は、だいたいいつも秀明に非があるのだが、今の話を聞くかぎりどうも今回はいつもとは違うようだ。

「今の話だと、今回は俊治が悪いような気がするんだけど?」

そう僕が聞くと、俊治は少しいらだった様子で答えた。

「こいつが今日の6時に決闘するって言うから来てやったんだ。そしたらこいつ、いびきをかきながら寝てやがったんだよ!普通怒るだろうが!」

「あぁ!?そんなこと言った覚えはねえがなぁ!?」

秀明が喧嘩腰でそう言った。

「バカは3歩歩くと忘れるって言うからなぁ。」

さらに俊治がそれに乗って挑発した。

「んだと、こらぁ!」