話を続けようとするが、頭の中を回っている言葉はうまく口から発声されなかった。

「何?何?何なのよ、もう。ちゃんと言ってくれなきゃわからないよ、美羽」

あきれ顔になった千歳が続ける。

「私、美羽に何にもされた覚えないんだけど」

「する」

「え?」

私の口から発せられた小さくかぼそい声は、千歳には届かなかったようだ。


(するんだ、今から・・・・・・)


そして思い切って言う。

「私、もうちーちゃんと朝一緒に登校できない!!」

目をつむってそれだけを言い切った。

千歳の反応が怖くて、中々顔を上げられずに居ると、トントンとテーブルを指でたたく音がした。

思わず顔を上げて正面を見ると、何を考えているかまったく読めない表情の千歳がいた。

その表情を変えずに、千歳は口を開いた。