画板に画用紙を挟み、デッサンの時間が始まる。

静かな教室に響かないように小声で会話する。

「あの・・・ごめんなさい」

「何が?」

「え、わからないけど」


(だけど星野くんが怒っている気がして)


「理由もなく謝らなくていいよ」

シャッシャッと鉛筆のすべる音がする。

ヒリヒリとする少しの私語。


(もうあの朝の時間のようには話せないのかな・・・・・・)


うつむいて鉛筆を紙にすべらせながら、涙が出そうになるのを感じた。



「仲、いいの?」



やがて、星野くんがぽつりと言った。


「え?」



「大輝と・・・・・・」



大輝・・・、八坂君のことだ。仲良いも何も星野くんと話さなければあいさつすらしない間柄だ。

「あの、今日まであいさつぐらいしかしたことないけど・・・・・・」

おずおずと言う。