あれから二日眠り続けた咲が目を覚ました。

「大丈夫か?」

頭をひと撫でして顔を覗き込むと

儚い笑みを浮かべた。

あの日、母親の愛情を求めた咲。

心の中にある不安は………

交流を持てるようになった今も

まだまだ拭えないのだろう。

一度…………実家に帰した方が良いのか?

家族で過ごす時間が必要なのかもなぁ。

仕事が休みになる夏休みでも………考えてみよう。

「水を飲むか?」

背中を支えて起こしてやり、ペットボトルを渡す。

一口飲むと、喉の乾きを思い出したのか

ゴクゴクと飲む。

ヨシ、大丈夫だな。

3分の1程飲み、潤ったのか

健康的な色味が戻り始めた。

「起きれそうなら、何か口に入れるか?
二日間何も食べてないから、消化の良い物を用意する。」

「だったら、笹兄が食べてるプリンが良い。
作ってくれる??」

一応、いつ起きても良いように作っておいた。

「これでいいか?」

渡してやると膝の上に登ってきて

「あ~ん。」と口を開ける。

すっかり甘えん坊になってしまった。