「ほらっ、咲。
口を開けろ。
薬を飲まないといけないだろう。」

買ってきた薬を口に入れようと格闘するが

起きるのも億劫らしくて、目も開けない。

仕方なく口の隙間から、薬を捩じ込み

口移しで水を飲ませる。

飲む気のない人間に飲ませるのは、至難の技で

殆どを口から横に流す。

それでも何度か繰り返し、流し込むと

ゴクッと

飲み込む音が聞こえた。

一先ずホッとして、次の難関…………

着替えに進む。

さっきは、まだ意識があったから何とかなったが

全く意識がなく、くたっとしている人の着替えは

ホントに大変だ。

生まれたての赤ん坊の着替えをする母親達は

尊敬に値する。

ボタンを外していくと…………

そんな気はないはずなのにドキドキした。

女の裸なんて、何度も見てるはずなのにな。

パジャマを脱がせ、タオルでソッと汗を拭いていく。

「うっ……うん。」

睡眠の邪魔をされて不快なのか

眉間にシワを寄せている。

肩に頭を持たせかけ、抱き寄せて背中を拭くと

「圭ちゃん、ぎゅっとして…………
このまま抱っこしてて。」といつになく甘えてきた。

裸でこれは……………。

一瞬グッときたものの

やっと甘えてくれたと思うと………顔がにやけてくる。