「圭ちゃん。
私ね………………初めてじゃないの。
中学1年の時に一度だけ…………したことがある。
あの頃………一人で住み始めて、寂しくて…………
『付き合って下さい』って……言われるがまま、お付き合いしたの。
好きかどうかも分からないまま、一緒にいたの。
夕方、みんなお家に帰って行くでしょう。
それが寂しくて………
男の人の性や気持ちも考えないで…………
「帰らないで。」って………言ってしまって…………………。
気づいたら、経験していた。
痛くて怖くて………………
それからはずっと………そんな雰囲気にならないように、避けてきたの。
ごめんね…………ごめんなさい。」

ポロポロ涙を溢す肩が、震えて痛々しい。

『ごめん』は…………俺だ。

咲の傷口に、塩を塗っていた。

怖かったよな。

今だって……………怖いよな。

『一緒にいる為』に、する行為ではない。

好きの延長にあるんだって………伝えたい。

咲の心には、まだまだ沢山の闇があるのだろう。

いつか、全て出せた時…………

心からの笑顔を見せてくれるはずだ。