咲は、俺と出会うまでずっと一人で生きてきた。

淋しいと感じる事も憚られる環境の中で………。

そんな子に

やっと出来た居場所。

それが俺の側だった。

拾った子犬は、クンクン寄ってきてシッポを思いっきり振り

抱き上げたもらうのを待っていた。

俺は、そんな子犬を自分の家に連れ帰った。

情が移ったら、手放せなくなると分かっていながら。

俺の誤算は…………

子犬だと思って拾ったのに

子犬はいつの間にか、大切な女の子になってた事だ。

ホンの半年の間に。

負けず嫌いで強がりで、猪突猛進と表現するのがピッタリな程

思い込むと一直線で…………。

危なっかしいところも

ホントは傷つきやすいところも…………可愛いと思ってしまった。

今も

すがって泣く姿が、俺にだけ見せる甘えで………

嬉しくなっている。

重症だな。

「誰ともデートしないから、泣くのをやめろ………。
第一、こんなオジサンなんて………誰も相手にしないぞ。
だから安心しろ。」

俺の言葉に

「だって………琳ちゃんが………カッコイイって言ってたんだもん………。
圭ちゃんは自分でオジサンって言うけど………
まだまだイケてるんだよ。
だから…………心配。」

いつになく素直な咲が愛しい。

ホントに…………ごめんな。