カツン…カツン
カシャッ…カシャッ

暗い神殿の回廊に、エドガーの靴音と甲冑の音だけが、やけに大きく響く。


「うっ…うっ…ロニィ、死なないで…死んじゃいやだよぅ…。」

エドガーは泣きじゃくりながら先へと進んだ。
一人でいる事がこんなに恐ろしく、不安だなんて彼女は考えてもみなかった。
ロニィは憎まれ口をいいながらも、常にエドガーに迷いのないしっかりとした手を差し伸べていた。

その彼がいない…。

エドガーは、辺りの空虚な広がりをぼんやりと見つめ、ひたすら歩いた。
彼女は自分が何処へ向かっているのか…全く分からなかった。
但し、少しでも脇に逸れそうになると、腰に吊した氷の剣が、間違いを正すようにカタカタと鳴り、彼女が通り過ぎた後の通路には、ポゥと鬼火のような灯りが一つまた一つと灯った。
エドガーは、それを頼りに歩き続けた。


複雑に曲がりくねった通路をどの位歩いたのだろう。
エドガーが疲れと焦りを感じ始めた頃、神殿の奥とおぼしき所から、ぼんやりと灯りが滲んでいるのが見えた。