「あ…ああぁ…嫌だ…嫌だよ。ロニィ…ロニィ!」

エドガーはふらつく足取りで倒れているロニィに近づくと、静かに彼を抱き起こした。

「ロニィ…嫌だよ…死んじゃえなんて、ホントはこれっぽっちも思ってないよ…だから…死なないでよ。目を開けて!」

涙に咽びながら、ロニィの血の気の失われた顔を覗き込むエドガーに、ロニィはうっすらと目を開け力無く微笑んだ。


「…エドガー、扉は開いた…か?」

「うん…。」

「そうか…さぁ、早く神殿の奥へ行け…。そこに行けば…お前の願いは必ず叶う。」

「神殿の奥へ?そんなの無理だよ…。ロニィが一緒じゃなきゃダメだよ!」

「…バカ…それじゃあ…命をはった意味が無いだろ…。安心しな…お前が戻って来るまで…俺は死なない。待ってるから…。」

「ロニィ…。」

「氷の剣よ…出でよ…。」

彼が小さく呪文を唱えると、エドガーの腰に氷の剣が現れた。

「レオルドがくれた剣だ…持って行け。」

「…。」

彼の言葉にただ頷くだけのエドガーに、ロニィは再び優しく微笑むと、震える手を伸ばし、“彼女”を抱き寄せ、その額にキスをした。


「魔導師の…祝福だ…お前が望めば、俺はすぐに…お前の側へ…行くから…。」

「ロニィ!」

「…早く行け!」