「ここに刻まれている古代文字は全部デタラメさ。勿論、この神殿も良くできたフェイク…偽物だ。お前はまんまと俺達に騙されたんだよ。」

「…。」

「俺は、“呪われた哀れな愛娘にせめて一時でも幸せな夢をみせてやりたい…”と望んだお前の親父に金で雇われただけなんだよ。こうして最後の課題まで一緒に過ごすように頼まれていたって訳さ。」

ロニィは棘のある言葉を一気にまくし立てながら、エドガーを嘲るような視線で見下ろした。


ドクン…。

ロニィの胸に激痛が走った。


(…くっ…。)

努めて平静を装いながら、ロニィは最も残酷な言葉をエドガーに投げつけた。

「昨日、俺がラウンジで女を抱いているのを見ただろ?どうやらアイツにマジ惚れしたみたいでさ。宿を出る時に即金で身請けの代金を支払って来たよ。やっぱ“まともな女”はいいよなぁ。夜しか女になれない半端なお前とは違うんだよ。」

「嘘…ウソだよ。なんで…ロニィ、どうしてそんな嘘をつくの?」

「嘘?ああ、ある意味お前の言葉は当たってるよ!いいか?いままでの事は全て嘘、お前を愛した俺の存在も…全てFake…偽物だったのさ!」


ロニィの口から吐き出された言葉の鋭い刃は、エドガーの心に突き刺さり、傷口を深くえぐった。