「ねぇ、ロニィ。この山って一体どうなってるの?」

「ん?」

「だってさぁ…さっきまでは凍え死にしそうなくらいの氷と雪の世界だったのに、今はまるで春だよ。森の木々は若葉が茂り、チェリーの花まで咲いているんだもん。」

「エドガー、お前さぁ…大事なことを忘れてないか?ここは何処だ?」

「何処って、アウグスト火山でしょ。あっ、そうかぁ。ここは活火山だもんね。地熱や何やらの影響でこんなにも様子が違うんだ。」

「そう言う事!よし、ご褒美に洋服を薄い物に変えてやろう。」


ロニィはニッと笑うと、いつものように指をパチンと鳴らした。
彼らの皮のコートは一瞬で消え、エドガーは綿のシャツと柔らかなズボン、麻のベストの姿に変わった。

「わ~い、こいつはいいや。ロニィ、ありがとう。」

エドガーはピョンピョンと飛び跳ね、足取りも軽く山道を駆けていく。
その様子を見つめ、ロニィも少し早足で後に続く。
木立の間から、チェリーの花の良い香りが漂い、暗くなりがちなロニィの気持ちを癒していった。