翌朝、ロニィの目覚めは最悪だった。
リーゼとの情事が芝居だったとはいえ、故意にエドガーを傷つけた罪悪感は、彼を深い自己嫌悪に陥れた。
毛布を持ち上げ、エドガーの様子をこっそりとうかがうが、彼女はすでに起き出したと見えて、ベッドは綺麗に整えられ、荷物もまとめてドアの側に並べられていた。


(…やっぱ俺とまともに顔を合わすのは嫌だよな…。)

こうなることは覚悟の上だったのに、気持ちが滅入るのは何故だろう。


(とりあえず朝飯か…。)

どんなに落ち込んでいても、苛ついていてもいつものように腹は減る。
ロニィは、悲鳴をあげる腹を押さえながら、苦笑した。

「エドガーと一緒に取る朝食も多分これが最後だろうしな…。」

彼は独り言を呟くと、シャツを羽織った。
その時、微かにリーゼの残り香が鼻腔を掠め、ロニィは腹の底がこそばゆいような感覚に襲われた。


(あ…ヤバい…。)

昨夜の自分の熱演ぶりを思い出し、彼は顔を赤らめ、鼻の頭をカリカリと掻くと部屋を出て行った。