翌朝。

エドガーと父親のヴィンセントは、久し振りに見るロニィの不機嫌な表情に戸惑いを隠せないでいた。
ロニィは、腕組みをしたまま大好物のハニーバタートーストを睨み付け、微動だにせず椅子に腰掛けたままだった。


「ねぇ、今朝はどうしちゃったの?大好きなトーストが冷めちゃうよ。」

「…。」

「ロニィ殿、ひょっとして…昨夜…。」

ヴィンセントの問いに、ロニィはハッとして顔を上げた。

「ああっ、やっぱり!エドガーを部屋へ上がらせなかったので、へそを曲げていらっしゃるのだな?いやはや…申し訳ない。昨夜はちょいと酒を飲み過ぎましてなぁ…エドガーに介抱して貰っていたのだよ。」

“ごめんね”とでも言うように、ヴィンセントは顔の前で両手を合わせ、片目を瞑った。


「そんな事でへそを曲げるかよ…。」

ロニィは、彼の早とちりに呆れ果て、大きな溜息をついた。

「じゃあ、なんでそんなに機嫌が悪いの?」

エドガーが、心配そうにロニィの顔を覗き込んだ。


「うははははっ、エドガー!訳が知りたいか?」

突然、天井から高飛車な笑い声が響き、乳白色の大理石から国王レオルドが溶け出すように姿を表した。

彼は“失礼”と言いながら、食卓の空いている椅子に腰掛けた。