スカイヤード家、深夜。
ロニィは戦っていた。
天蓋の付いた大きなベッドの中で、心地よい眠りについていた彼は、突然“不気味な何か”に襲われた。

反撃魔法を繰り出す間もなく、ロニィは果てしなく暗く、重たい闇に捕らわれた。
闇は体にのしかかり、手足の自由を奪い、皮膚の上から骨をギリギリと締めつけた。


「う…ううっ。」

ロニィの堅く食いしばった歯の隙間から呻き声が漏れる。


“ロニィ、どちらを選択するか決心はついたか?”

“う…ぅ…。”

“何を迷っている?早く…早く早く!早く選べ!”

“ゴチャゴチャうるせぇよ…。安心しな、俺の気持ちはもう決まっている!”


“ならば…早く来い!我の元へ!”


闇の中に金色の瞳が怪しく光った。



ビュゥゥゥッ

激しい風と共に闇は消え失せ、ロニィはベッドの上にぐったりと身を横たえていた。
彼の全身はぐっしょりと汗にまみれ、下着は肌にベッタリと貼り付いていた。


「…チクショウ…あの野郎…。」

ロニィは、嫌と言うほどに締め上げられた両手首にクッキリと残された赤紫の痣を睨み付けながら、忌々しげに唸った。