ベリエル王宮執務室…深夜。
室内からはユラユラと揺らめく橙色のランプの灯りと、二人の人間の口論する声が、漏れ響いていた。


「レオルド!本当にその決意は変わらぬのですか?」

「母さん、貴女もくどい!何度言われようと、俺の気持ちは変わらない。ロニィ達の第三の課題は“古代の神殿”にします。」

「でも…その課題は今まで多くのカップルが挑み、そして断念してきたもの…。いいえ、まだ、誰もクリアしたことがない難題…。」

「だからこそ、ロニィにはそいつに挑んで欲しいんだよ。逆に…この課題ができないようでは…あいつ等にはこの先の未来なんて…ない。」

レオルドは、執務用の大きな机に浅く腰掛け、腕組みをしたまま頑なな表情で、皇后マリアンヌを睨み付けた。


「それが貴方の…ロニィに対する思いやり…友情というものなのですか?貴方は、辛い試練の場所にあの子を送り出す事を、何とも思わないのですか!心が…心が痛まないのですか!」

「友情?俺はそんなちっぽけなものの為にこんな無茶をしているんじゃない。この国の悪しき伝統に終止符を打つために…ロニィ達を…。」

「レオルド!」