「見つけたって…まさか、星の欠片を?」

「ああ、真実の美しさを認めた途端に、星の欠片が輝きだしたよ。」

俺は答えると、エドガーの瞳を覗き込んだまま、右手を真っ直ぐ宙に伸ばし、全ての気をその掌にこめると、天の中心をめがけて一気に放った。

気弾は天を揺るがし、ベルベットの闇に輝く全ての星達は、バラバラと音を立てて足元に落ちた。

辺りは真っ暗な闇。
その中に、七色に表情を変えながら輝く星が一つ。

それは、手を伸ばせば届く空の端にあった。
俺は、人差し指でエドガーを制すと、そっと手を伸ばし、“星の欠片”を掴んだ。


ギュルギュルギュル

星の欠片は、まるで意志があるかの様に捕らわれる事を拒み、俺の両手の中で激しく回転した。


「うっ」

星の回転で生じた摩擦熱は、俺の両手を焦がし、骨を粉砕するかの様な勢いは更に強くなった。


「くそっ、絶対に…絶対に離すものか!」

「ロニィ!やめて!指が千切れちゃうよ!」

エドガーが、俺に駆け寄ろうと足を踏み出した。

「来るなっ、今度は俺がお前に本当の気持ちを返す番だ…。だから手出しはするな!」

俺は弾き飛ばされそうになる両手を胸元に引き寄せると、よろめきながら鎮めの呪文を唱えた。


シュウゥゥゥ

徐々に星の欠片の回転が弱くなった。


(もう少しだ…。)

そのまま呪文を唱え続ける。
暫くして、それは完全に回転を止めた。

「あはは…どうだ…エドガー、星の欠片を手に入れたぞ。さぁ、こっちに来て手を出してごらん。」

エドガーが、俺に駆け寄り、そっと両手を差し出す。
俺は、その掌に美しく輝く宝石をそっと乗せた。

「ロニィ…。」

エドガーが、何か言っている。
でも、俺には何も聞こえない。
彼女の顔を見つめ、笑みを浮かべた途端、俺の意識はプッツリと切れた。