パキッ

俺の靴の下で、枯れ枝が乾いた音を立てて折れた。


「あっ、ロニィ、お帰り!」

焚き火の脇に座り、炎を見つめていたエドガーが振り返り、ニコリと笑った。
その顔のあちこちに、煤がついている。

「…さっきは取り乱してすまなかったな。」

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ…もう何も問題ない。」

俺は答えると、ローブを脱いで椅子の背に掛けるとそのまま腰を下ろした。

この森に入ってからどれ位時間が経過したのだろう。
一日?それともそれ以上?
果てしなく続く夜の時間は、俺達の感覚をジワジワと狂わせている。
まとわりつくような疲労感と、定期的に訪れる空腹感。


(体内時計に頼るしかないか…だが、コイツもどの位あてになるのか…。)


グゥゥゥ…。

「!」


(腹減ったな…。)

俺は情けない鳴き声をあげる腹を押さえ、溜息をついた。


「へへっ、そんな事だろうと思って…ジャジャーン!ロニィの大好きなハニーバタートーストを作ってみましたぁ♪」

俺の前に、エドガーの言うハニーバタートーストなるものが、無造作に乗った皿が置かれた。


(うへぇ…これがハニーバタートーストだって?マジかよ…。)

俺の額に嫌な汗が流れ出す。


「さあ、どうぞ召し上がれ♪」

ニコニコと、やけに得意気に微笑むエドガー…。


(うっ、コイツは拷問よりもひでぇな…。)

震える指で、その物体を摘み、おっかなびっくり口に運ぶ。