(なんだ…エルフか。)

緑の髪に尖った耳、人なつこい笑顔を浮かべた青年を見て、俺は安堵の溜息をついた。

「全く、突然襲いかかってくるなんて驚いたぜ。」

「いや、お主らは少し風変わりだったし…特にそちらのご婦人が…ともかく、面目ない。」

「なる程…まぁいいさ。それと、護人のアンタに教えて欲しいのだが、星の欠片ってのはどんな物なんだ?」

「おや…お主らはまだアレを見つけておらぬのか?星の欠片とは、その美しさで人の心を捕らえて離さぬ秘宝。本当の美しさ…本質が分かる者ならすぐに見つけられそうなものだが…。」

「本当の美しさ…。」

「…俺達にはまだそれが見えてないって事か?」

「そう言う事になる。ちなみに、私には星星の中で一段と美しく輝くアレの姿が良く見えている。」


(なにいぃぃ~。何処だ?)

俺は慌ててカルロの視線の先を指でたどった。

「ふふふ…そんな事をしても無駄です。とにかく本当の美しさを、本質を見抜く目を…この森で養うことが先決。努力される事です。」

そう言い終えると、護人カルロは俺達に目礼し、ローブを翻すと忽然と姿を消した。


「ロニィ、何だかよく分からなかったけど…。」

「ああ…。」


(本当の美しさ…何だよそれ…。)

とにかく、闇雲に探しても無駄って事か。
だが…どうすればいい?

そんな俺達をからかう様に、宝石のような星達は、ベルベットの闇をコロコロと転がり、軽やかな音をたてて足元の草原に散らばった。