「二つ目の課題は、王家に伝わる秘宝“星の欠片”を見つけるってやつだ。星の欠片は夜になると輝く宝石でな…かつてそれを手に入れた魔女が、誰にも奪われぬ様…そして常に星の欠片が美しく輝く様にと、自分の住む森に呪いをかけた。“漆黒の森”と呼ばれるその森に入り、星の欠片を持ち帰ること!たが、常に夜の状態の森の中では、エドガーは女のままだというリスクを背負うことになるぞ」

一気に語り終えると、レオルドは“どうだ?やるか?”という様な表情を浮かべ、二人の顔を見比べた。

「…面白そうだな。」

親指の爪を噛みながら、暫く考えを巡らせていたロニィが、顔を上げて不適な笑みを浮かべた。


「ずっと夜のままの森かぁ。そこにいる間は僕…女の子でいられるんだね!」

エドガーは、嬉しそうな表情を浮かべている。

「よし!それでは決まりだな。この“真実の鏡”と“氷の剣”は俺からの餞別だ。ありがたく受け取れよ。…それと、エドガー、明日を待って出かけるとまた今日の様な痛みを受けねばならないぞ…どうする?今から漆黒の森へ行くか?」

「王様、お気遣いありがとう。そうだね…うん、そうするよ。」

「そうか。そうと決まれば善は急げ!こら!ロニィ、グズグズするな!はぐれない様に手を繋いだな?それでは、サクッと行ってこい!」

そう言い終えると、レオルドは転送魔法を詠唱した。
二人は魔法陣の中央で、眩しい光に包まれた後、金色に輝く粉を振りまいて消えた。


「二つ目の課題…これからが二人の本当の試練だ。さて、俺達はじっくりとお手並み拝見といこうか。」

レオルドは、机の上の薔薇に語りかけると、口元をギュッと引き締めた。