「だから…レオルドとソフィーの事があったから…今まで友達も恋人も作らず、ロニィは…ずっと独りぼっちでいたの?」

「…。」

もしかして、図星だったのだろうか。
ロニィは、僕の言葉に再び口を閉ざした。

でも、すぐに彼は僕の胸に棘のある鋭い言葉を突き刺した。

「だったらなんだ?何か不服な事でもあるか?お前らスカイヤード家にとって、俺は最高の婿なんだろう?一度女で痛い思いもしているんだ…もう二度と傷つかない…。呪われた身であろうが、“それなり”にお前を満足させてやるさ!」

ロニィは、そう言うなり僕の腕をグイと掴み、自分の胸に引き寄せると、ヤケクソ気味な笑みを浮かべた。

「酷いよ…ロニィ。ロニィは僕の事をそんな風にしか見てくれないの?真実の僕を見てはくれないの?僕は僕だよ…誰かの代わりじゃない!」

僕の口から、思いがけない言葉が飛び出した。

「ロニィのバカ!」

僕は、収拾のつかない気持ちに戸惑い、思い切りロニィを突き飛ばすと、薄氷の張った石畳を全速力で走り出した。


(僕はソフィーに嫉妬してる。僕は…。)

自分の気持ちに嫌悪感を抱き、そして戸惑い…僕は叫びだしたい衝動にかられながら家路を急いだ。