王宮からの帰り道、ロニィは不機嫌そうに眉間に皺を刻んだまま、何も喋らなかった。

「ねぇ…ロニィ、折角一つ目の課題をクリアしたっていうのに、随分ご機嫌斜めだね。」

僕は沈黙に絶えきれなくなり、ロニィに話しかけた。

「…。」

相変わらずロニィは僕の問いを無視するかのように、プイとそっぽを向いた。


(うわっ、大人気ないなー。)

こうなりゃ意地だ。何が何でも口を開かせてやる!
僕は、早足でロニィの前に回り込むと、ピョンピョンとジャンプしながら、彼の顔を見上げた。

「ねーーっ、ロニィ。何で黙ってるんだよー!ねぇねぇ!」

「あーー!うるせー!何なんだお前は!ゴチャゴチャとウザイんだよ。」

遂にロニィが癇癪を起こした。


(あれ…ロニィってば、もしかして…。)

彼の顔を見て、僕は分かってしまった。


「ロニィ、ソフィーの事が好きだったの?」

僕の問いに、ロニィは怖い顔で答えた。

「ふん。だからどうした?そうだよ!俺はずっと彼女が好きだったよ。だが、どうしようもなかった。魔法使い同士の婚姻は決して認められない。さっきのレオルドを見たら分かるだろう?だから俺はソフィーの事を諦めたんだ。」

ロニィの紫の瞳はとても悲しげだった。