「…という訳で、もう用は済んだな?お帰りの時間だ。」

レオルドは再び、指をパチンと鳴らした。


バタン

大きな音を立てて、執務室のドアが開いた。

「それじゃあ、次の課題を楽しみにしているぜ。」

ロニィは、好奇心旺盛に指にはまったリングを透かして見ているエドガーを促し、部屋を出て行った。


「ふん。本当にお節介な奴だ。」

レオルドは、ロニィ達の背を見送りながら呟いた。

「ん?」

彼は不意に、怪訝な声を出し、左の掌をゆっくりと開いた。
そこには、虹色に輝く花の種が握られていた。

「枯れない花…か…くだらないな。」

彼は窓を開け、手の中の種を外へ捨てようと身構えた。
しかし…彼はそれを思い直し、机の上のコップの中に放り込んだ。

すると…種はあっという間に発芽し、葉を茂らせ一輪の薔薇の蕾を付けた。


ポンッ

蕾が弾けた。
何とも言えぬ良い香りを漂わせ、深紅の薔薇が開花した。

「美しいな…。」

レオルドは、呟くといつまでもその花を見つめていた。


★第一章 枯れない花 ~end~