「さてと…俺達もそろそろ帰るぞ。」

高い木の梢に、エドガーと並んで腰掛け、レオルドを見つめていたロニィは、おもむろに口を開いた。


「…うん…。」

珍しく従順にエドガーが頷く。


パチン

ロニィが再び指を鳴らす。
ここへ来た時と同じ様に空間が歪み、暗闇が彼らを包んだ。


「…うっ…。」

小さな呻き声を漏らしながら、レオルドはムックリとソファに身を起こした。

「おい、レオルド。“枯れない花”に会った感想はどうだ?」

夢心地の表情の彼に向かって、ロニィが意地悪く尋ねる。

「ふん。余計なお節介を焼きやがって!」

レオルドは答えると、ロニィを睨みつけた。

「…だが、久々に美しい花に会えた。今回はお前に感謝せねばな…。よし!今回の課題は合格だ。」

レオルドは、困惑と安堵が入り混じった、とても複雑な表情を浮かべながらそう言うと、パチンと指を鳴らした。

シュッ

小さな音をたてて、二組の指輪がロニィの目の前に現れた。

「何だ?この悪趣味な指輪は。」

ロニィが嫌そうにそれを摘みながらレオルドに尋ねた。

「失敬な奴だなぁ。そいつは課題完了時に、その証の灯火が灯るリングだ。そこに三つの火が灯った時…お前達の願いが一つだけ叶う。」

「俺達の願い?」

「ああ、そうだ。“お前達の願い”だ。但し、しつこい様だが…願いは一つだけだ。慎重に考えてから願えよ。」

そう言うと、レオルドはニヤリと不適な笑みを浮かべた。