「愛の成就の為…愛しいスルトの為に…彼女は自らの命を差し出し彼に強大な魔力を与えた。」

「まるで封印の扉の鍵みたいだね…。」

「そう…。彼らは永遠と続いてきた悪しき伝統の創造主であり…犠牲者なんだよ。ヒルデを死なせたスルトの自責の念と怨念がそのままここに留まり、悪霊になった。俺から15代前の国王が、彼の身体の欠片をこの神殿に、魂を真実の鏡に封印した。」


レオルドは、王家に伝わる悲劇を語り終え、胸の前で手を組みヒルデに一礼すると、再び指を鳴らし棺の蓋を閉めた。


「お前達の助力によって、俺はスルトとヒルデを同じ棺に納め、永久の眠りにつかせる事ができた…これでもうスルトが覚醒する事はない。悪しき仕来り…カップリングも撤廃だ…。」

そう言うと、レオルドはエドガーを振り返った。


「エドガー、後ろへ下がれ。」

彼女を壁際に下がらせると、レオルドは右手のロッドで床に何かの文様を書くと、古き世の呪文を詠唱した。


ゴゴゴッ

棺の据えられた床が、轟音と共に地中深くへ沈み込んでいく。
やがて棺は真っ暗な闇に飲み込まれ見えなくなった。

レオルドが再びロッドで空中に印を結んび、棺を飲み込んだ空間は、元の石の床に戻った。