(“魔術師の祝福”…そうか…ロニィの奴、最期にエドガーの守護精になる事を選んだか。)


尚も封印魔法の呪文の詠唱を続けながら、レオルドはロニィの背を見つめた。


(ふっ、こんな切羽詰まった状態でもやってくれるな。まぁ、律儀なアイツらしいがな…。)


ロニィの出現で、エドガーは落ち着きを取り戻し、彼女の気は再び輝きを取り戻した。
七色の光を宿すエドガーのオーラが剣に共鳴し、僅かな唸りをあげている。


「ハァァァァァッ!」


一筋の閃光が煌めき、スルトの結界が寸断された。


ズブッ ズズズズズズッ

剣がスルトの分厚い甲冑の胸板を貫き、ズブズブと彼の身体にめり込んでゆく。

『うっ…おのれぇ…グォォ…ォォッ』

スルトの断末魔の叫び声が神殿に木霊した。


「邪念に捕らわれし始祖スルトの魂よ、今、聖女ロクサーヌの名の下に汝を浄化し、封印する!」

『うぉぉぉぉぉ!』

レオルドが呪文を唱え、ロッドを振りかざし印を切る。
スルトの禍々しい姿は、氷の剣に吸い寄せられ、小さく薄くなってゆく。
そして、その姿は徐々に人の形となり…封印の瞬間、口元に穏やかな笑みを浮かべ消えた。