ドォォォォン

神殿の壁に激突した二人は、土煙を上げ花崗岩の床に崩れ落ちた。


「ううっ…。」

白いローブを朱に染めてレオルドはヨロヨロと立ち上がり、ロッドに縋り付き上体を起こすと怒りに燃える双眼でスルトを睨んだ。


『ほう…まだ立ち上がる力が残っているのか?子孫よ…。』

スルトは無数の足をザワザワと踏み鳴らすとレオルドに冷たい笑みを投げつけた。

「子孫子孫って…うるせぇんだよ、お前は!正確に言うと俺はお前の弟の家系だ!一緒にすんなっ!」

『ふん…そんな事はどうでも良い。いずれにせよお前達に我は倒せぬ。さあ、今すぐここで地に額を擦り付け許しを請うのだ…さればお前の罪を許してやるぞ。』

「何を寝ぼけた事を抜かしやがる!俺は金輪際お前に頭を下げるつもりはない!」

『何だとっ!』

怒りのこもった怒声と共に、スルトの瞳が赤く揺らめいた。その途端、レオルドの身体はメキメキと嫌な音をたて、強引にねじ伏せられた。
彼の端正な顔はザラザラした床にグイグイと押し付けられ、無数の擦り傷を作った。

『さぁ、早く我に許しを…苦痛に涙を流し汚れた床を舐め、自らの非を認めるのだ!』


「断る!」

レオルドの身体から気の固まりが弾けた。スルトの身体が微妙にバランスを崩し斜めに傾いだ。