「エドガー、危ない!」

レオルドがエドガーの前に回り込み、右手のロッドを振るった。
鮮やかな曲線が光の針を弾き飛ばした。


シュウゥゥゥッ

「くそっ。俺の雷精を唆すなんて、とんだ始祖様だなぁ。」

攻撃を辛うじて防いだレオルドが、口元に不敵な笑みを浮かべ、スルトを見やった。
彼の上着の袖口からはブスブスと黒い煙が上り、腕からはポタポタと血が流れ落ちた。

「大丈夫?」

「ふん。こんな物、舐めときゃ治る。それよか…いいか、もう一度俺が術を放ったらお前は奴の懐へ飛び込め!」

「わかった!」

エドガーは、レオルドの耳打ちにコクリと頷いた。


「行くぞ、我が敵を焼き尽くせ!レッドフレイア!」

レオルドのロッドが風を切り唸りをあげた。紅蓮の炎が真っ直ぐスルトに向かって延びていく。


「はぁぁぁっ!」

エドガーが炎をくぐり抜け、スルトの懐へ飛び込むと、氷の剣を突き上げた。


『甘いわっ!』

スルトの瞳の縦長の紅彩がカッと開き、裂けた口から長い舌が覗いた。六本の腕がグルグルと回転し、空を切ると激しい風圧が生じ、二人を吹き飛ばした。