「雷精アレキサンドラ、我に力を貸せ!」

レオルドが雷精召喚の呪文を詠唱した。
空間を横一文字に引き裂く閃光と共に、雷光を蓄えた雪豹のような姿の雷精が現れた。
雷精は雄々しく吼えると、スルトに向かって稲妻を放った。


バリバリッ
ドォォォォン

眩しい閃光と衝撃波がスルトの身体を包む。


「雷精王の雷撃だ、さすがの奴も無傷なはずがない…。」

レオルドは舞い上がる土埃の向こうを透かし見た。

「…レオルド、あれ…。」

エドガーがムクムクと盛り上がる瓦礫の山を指差した。


ズ…ズズズッ…

崩れ落ちた彫像の下からスルトがのっそりと姿を現した。
彼の額にパックリと開いた傷口から黒い血が滴っているものの、受けたダメージは僅かだった。


『はっはっはっ、こんな子供だましの魔術で我を倒せると思ったか!しかもこやつは以前我に服従せし者…。』

そう言うや否や、スルトは呪文を唱えた。
それに応えて、雷精はユサユサと身体を揺すった。
すると、その身体から幾多の光の針が放たれ、レオルド達を襲った。