「ハァ…ハァ…。全っ然斬り込めないよ…腕が六本なんてズルいや!」


エドガーは苦戦していた。

いくら怪力の持ち主の彼女でも、六本の手から繰り出される攻撃をかわすだけで精一杯、剣を打ち込むなど至難の業だった。


『どうした?逃げるだけでは我は倒せぬぞ!』

「くっ…。このーっ!」


エドガーは、スルトの一番下に生えた短い腕をめがけて、剣を振り下ろした。


ガキーーンッ

澄んだ金属音と共に、エドガーは剣を握りしめたまま跳ね飛ばされ、石の壁に激突した。
彼女の渾身の一撃は、そのまま跳ね返り自らの身体に大きなダメージを与えた。

「ぐっ…ゲホッ。」

口の中が切れ大量に溢れてきた血は、嫌な味を口中に広げ、エドガーはその場にグッタリと倒れたまま嘔吐した。


『なんだ、口ほどにもないな。もう死を受け入れる覚悟を決めたのか?』

スルトは嘲るような満面の笑みを浮かべると、彼女に向けて、銀色に輝く槍を構えた。