「あ…あ…あぁぁ!」

スルトの言葉に、エドガーは耳を塞ぎ、その場にガクリと膝を付いた。
額から汗が噴き出し、それが華奢な顎を伝い流れ落ちた。



『奴はすぐに覚悟を決めた。お前の呪いを解く為に、己の命を我に差し出す事を誓った。』

「それじゃあ…今迄のおかしな行動も…。」

『うむ…。お前は奴の目論み通り…あの男の死を望む禁断の呪文を唱えた…これが知りたかった真実だ。』

「…ロニィ…僕の為に君が死んだ。僕の幸せを願ってくれても…ロニィが側にいないのなら、そんなのは幸せとはいえないよ!」

エドガーは、そう叫ぶと立ち上がり、満面の笑みを浮かべ彼女を見下ろしていたスルトを睨んだ。
彼女の瞳に宿った力強い輝きを見た途端、彼は苛立ち怒りに震え、大声で叫んだ。

『愚か者め、何を言うか!さあ、願いを叶えてやるぞ。己の幸せを…元の姿に戻してくれと願え!』

「嫌だっ!」

『黙れ!早く願わぬか。その愛らしい口で“呪いを解け”と言うだけでよいのだ。恋人を死なせた罪の意識などほんの一時…直ぐに忘れてしまうぞ!』