(そうか…エドガーの奴だな。俺の言葉を真に受けて夜這いに来たか…。)

俺は腹の中で舌を出し、奴の馬鹿さ加減をせせら笑った。
その時だった。
俺の左肩の痣を奴の指がスウッと撫でた。
そして…暖かな吐息が俺の耳元を擽り柔らかな唇が俺の痣に触れた。

「コノヤローーー!いい加減にしやがれ!ド変態野郎!」

我慢の限界だった。俺は身体を起こすと、奴の首根っこを掴みベッドの上に引き倒した。


(えっ?えええ!?)

鼻息も荒く、怒り心頭で奴を睨み付けた俺は、目前の信じられない光景に驚き口をあんぐりと開けたままその場に立ちつくした。
ベッドの上に仰向けに倒れ、ジッと俺を見つめている侵入者…そいつはエドガーではなく、色っぽい女だった。


(あのアホ親父め、こいつは一体どういうつもりだ?エドガーの姉ちゃんなんか嗾けやがって!こんな格好でやってくるからには覚悟は出来てるって訳か?)

「お前、誰?」

俺は努めて冷静に彼女に尋ねた。すると、彼女はニコリと微笑み、信じられない言葉をサラリと言った。

「嫌だなぁ、エドガーだよ。」


(??????????)

「ふふっ、昼間ロニィが夜這いに来いって言ったから、来ちゃったよ。左肩にちゃんとあったね。薔薇のような痣!」


妖艶な笑みを浮かべながら、エドガーはゆっくりと身体を起こした。
身体の動きに合わせ、長い赤毛が肩に滑り落ち、薄い寝間着の下では形の良い胸がプルンと揺れた。

「ねえ、何そんな所に突っ立ってんのさ。こっちに来なよ。」

奴は平然と俺に手招きする。


(コイツ何?何なんだ??)

「エドガー・・テメェは一体…。」

「あっ、さっき言い忘れたっていうか・・ロニィが途中で出てっちゃったから言えなかったんだけど…ボク、夜は女の身体になるからね。これも魔女の呪いってやつ。」


(あああ…もうダメだ…俺は頭が変になって死んじまう!)