しばらくの間。
 2人とも黙ってしまっていた。
 私は、自分の気持ちを抑えるのに必死だった。

 その時。
 リエの着信音が聞こえた。

「もしもし。え!!」

 リエは、驚いた表情でこっちを見た。

「大変!なつ!よっちゃんが来てるって!」

「え?来てるってここに?」

「もう下にいるみたいだよ!」

 ピンポーン

 2人で慌てている間もなく、チャイムが鳴ってしまった。
 リエがドアを開けた。

「やぁ!お二人さん元気かい??ちょっと用事があってさ。来ちゃったよ!」

「どうして、もっと早く言わないかねー?」

 いつもと変わる事のない。
 お調子者の登場に、笑ってしまった。

「荷物すごいよ!泊まりだったの?」

「まぁまぁ。気にしないで!ちょっと用事がね?」

 リエとよっちゃんのやりとり。

 熟年夫婦のようで、心地いい。

 よっちゃんの小さな嘘も、私達2人は気づいていたけど、知らないふりをしてあげた。

 きっと、心配してきてくれたんだね。

 ありがとう。

 突然の訪問者には、驚いたけど、私達にはいつも笑顔をくれてる。

 みんなが辛い時に、フッと現れてくれる。

 何も知らないような顔をしてるけど、誰よりも、友達想いって事。

 みんな、わかってるからね。

 だから、いつまでも、私達を見ていて下さい。

 楽しく笑っていられるから。


 よっちゃんの表情が少し寂しそうにも見えた。