まだあの夢のせいか体がふわふわしていた。

 今日は、リエの紹介してくれる家に向かう日。

「なつ。マンションまでそんなに遠くないから、早めに出よう!」

「うん。」

 2人でホテルから出て、そのマンションに向かった。
 しばらく進んで行くと……!

 そこは、見覚えのあるマンションだった。

「リエ……!ここって……」

「内緒にしててごめん。ヒロキが使えって。」

 そこは、前にみんなで行った、マンションだった。

「なつ。結構お金使ったでしょ?だから、ここ使わせてもらおう?ねっ?」

 私は、黙ってしまった。
 みんなよくしてくれるし、今まで甘えてきたけど、内緒にされたのが嫌だった。

 だったら、言ってくれればいいのに……。
 もやもやした気持ちでいっぱいだった。

 甘え続けるのが嫌で、ここまできたのに。

 しばらくしたら、家を探そうと思った。

「なつ。そろそろ、みんなに電話してあげてほしい。待ってると思うよ?」

「うん。わかってるよ。」

 私は、少し強めの言い方をしてしまった。
 ごめん。リエ。

 今は少しでも、みんなから距離を置きたかったから。

 わがままな私を、今はそっとしておいてほしい。

 春に咲いた綺麗な桜はもう散ってしまった。

 私の心の中には、今は違う花が咲いているのかもしれない。

 昔とは、違う気持ちが芽生えようとしている。
 こんな気持ちになったのは、初めてだった。

 だから……こんな気持ちも大事にしたいとそう思ったんだ。

 今なら、強くなれると思ったから。

 今しかないと思ったから。