「 もしもし。こんな時間にごめんね 」

「 どうしたの? 」

 私が電話をかけた相手は……コウちゃんだった。
 私は、いまの自分の気持ちやこれからの事。
 ヒロキくんの妹に言われてしまった事。
 それと、手紙に全てを書く事を伝えていた。

「 なつ……全部自分で背負うのは、違うんじゃない? 」

「 え!? 」

 上重さんにも、誰かに甘えた方がいい。
 そんな風に言ってたのを思い出した。

「 コウちゃん。私は前向きに考えてきてるようででも違ったのかもしれないね。乗り越えたと勝手に思い込んでいたのかもしれない…… 」

「 今の自分の思ってる事。ちゃんと相手に伝えなきゃ。ヒロキだって全て知ってる訳じゃないでしょ!伝えてあげてよ! 」

 コウちゃん……
 コウちゃんの言葉がまるで、ヒロキくんを救ってほしい。
 私にはそんな風に聞こえてきた。

 悲しいようで……切ない。
 コウちゃんの声は、何かいつもと違う。そんな雰囲気に聞こえてしまった。

「 コウちゃん……もしかしてヒロキくんの事? 」

「 私はいいの。想ってるだけで幸せよ。そういう恋もあるんだよ!でも、なつにはちゃんと伝えてほしいから 」

「 ありがとう……コウちゃん 」

 コウちゃんは、ずっとヒロキくんの側で見守っていたんだ。
 友達とは違う想いを抱いたまま。

 コウちゃんの切なさが、今の私にはひしひしと伝わってきて私も胸が張り裂けそうなくらい苦しかった。
 そんな想いにも気づいてあげれなかった自分に腹も立っていた。

 自分の話ばかりで、コウちゃんの切なさを一緒に感じてあげていたらと思うと悔しくてたまらなかった。


 私は電話を切ったあと、お店に置いてある便箋とペンを取り出し手紙を書き始めていた。