おれはあいつがおれといて
楽しかったと思っていた。
幸せなんだと思っていた。
でも、それはおれの誤解だった。
あいつはずっとつまらなくて。
あいつはずっと不幸だった。
お互いの気持ちは通じていると、
あのころはずっと思っていたけれど、
お互いにきっと分かってなかったと
今になればおれもそう思う。
だってさ、あいつが本の話をするときに、
おれが一所懸命聞いてやったことなんて、
一度も無かった気がするもんな。
あいつが本の話をするたびに、
おれはなんでそんなつまらねえ話を
いつもするんだって思ってたもんな。
あいつだって、おれの話を、
きっとつまらねえと思っていたさ。
それは仕方のないことなんだ。
でも、おれはあいつといて幸せだった。
あいつといることが楽しかった。
そんなこと、これまで無かった。
これからも無いなんて、
そんな世界で生きていく意味を、
おれは見つけられる気がしなかった。
おれは泣いて、また少し眠った。
そしておれは、本を買った。
あいつの好きな作家の本だった。
理解できなかったあいつのこと。
おれもあいつを理解したい。
そう思っておれは本を買った。
内容なんて憶えていない。
どれもくだらない本だった。
でも、おれはむさぼるように読み続けた。
最初は数日に一冊読むのが精一杯だった。
それでもおれは、休む間もなく読み続けた。
しだいに本がたまってきた。
おれはあいつの夢を思い出した。
楽しかったと思っていた。
幸せなんだと思っていた。
でも、それはおれの誤解だった。
あいつはずっとつまらなくて。
あいつはずっと不幸だった。
お互いの気持ちは通じていると、
あのころはずっと思っていたけれど、
お互いにきっと分かってなかったと
今になればおれもそう思う。
だってさ、あいつが本の話をするときに、
おれが一所懸命聞いてやったことなんて、
一度も無かった気がするもんな。
あいつが本の話をするたびに、
おれはなんでそんなつまらねえ話を
いつもするんだって思ってたもんな。
あいつだって、おれの話を、
きっとつまらねえと思っていたさ。
それは仕方のないことなんだ。
でも、おれはあいつといて幸せだった。
あいつといることが楽しかった。
そんなこと、これまで無かった。
これからも無いなんて、
そんな世界で生きていく意味を、
おれは見つけられる気がしなかった。
おれは泣いて、また少し眠った。
そしておれは、本を買った。
あいつの好きな作家の本だった。
理解できなかったあいつのこと。
おれもあいつを理解したい。
そう思っておれは本を買った。
内容なんて憶えていない。
どれもくだらない本だった。
でも、おれはむさぼるように読み続けた。
最初は数日に一冊読むのが精一杯だった。
それでもおれは、休む間もなく読み続けた。
しだいに本がたまってきた。
おれはあいつの夢を思い出した。
