まあ、確かに友だちには気まずかったろうな。
それぐらいはおれにもわかるよ。

でも、どうしようも無いよな。
いや、もちろんちょっとした
嘘を付いたおれも悪いよ。
でも、おれの威を借りて
友だちの前で威張るのはどうよ?
それに、他のスタッフなら、
きっと気を利かせてくれたろうに、
そこで叔父に話しかけてしまったのは
きっとそれも運命だったんだよ。

って、そんなことを話したかったけど、
あいつは聞く耳を持たなかった。

あいつは、「大嘘つき」と何度も叫びながら、
おれに何かを投げつけ続けた。

そして、数時間後、多分、おれの感覚では、
特に根拠は無いんだけど、
2時間ぐらいたった後じゃないかなと思う。

あいつは出て行った。
自分の服と、カバンを持って。

あいつの家に帰ったんだろうな。

おれは仕方が無いから追いかけた。
本当は、放っておいても
帰ってくると思っていたんだ。
だって、あいつはおれを好きだったし、
おれもあいつを愛していたから。

でも、あいつは帰ってこなかった。

追いかけたおれが話しかけても返事もしない。

タクシーを捕まえて、どこか遠くへ走っていった。

その晩、ずっと、あいつの家の前で待っていた。
あいつは帰ってこなかった。

でも、まさかこれで終わりだなんて、
おれは思ってもみなかった。